ネルドリップで引き出す ブラジル中煎り豆の滑らかな口当たり 淹れ方
最高のコーヒーを自宅で楽しむためのレシピをお届けします。今回は、ネルドリップという伝統的な抽出方法を用いて、ブラジル産の中煎り豆が持つ甘みとナッツのような風味、そして特にネルドリップで引き出される滑らかな口当たりを最大限に引き出す方法をご紹介します。
ネルドリップは布製のフィルターを使用するため、ペーパーフィルターでは吸着されてしまうコーヒーオイルなどが適度に残るという特徴があります。これにより、口当たりが非常にまろやかで、液体にトロみさえ感じられるような、豊かなコクのあるコーヒーを淹れることができます。
ブラジルの中煎り豆は、酸味が穏やかでチョコレートやナッツを思わせる甘みと香りが特徴です。このブラジル豆の持つバランスの良い風味と、ネルドリップのまろやかさが組み合わさることで、大変心地よい一杯が生まれます。
この記事では、ネルドリップの基本的な準備から抽出手順、そして美味しく淹れるための重要なポイントまでを丁寧にご説明します。ネルドリップに初めて挑戦する方でも、このレシピを参考にすれば、きっと素晴らしい一杯を淹れることができるでしょう。
この淹れ方に必要なもの
ブラジル中煎り豆のネルドリップを始めるにあたり、以下のものをご準備ください。
- コーヒー豆: ブラジル産 中煎り豆 20g
- 目安として、コーヒーカップ約2杯分(約240ml)の抽出量に適した量です。お好みに合わせて調整してください。
- お湯: 約300ml
- 抽出に使うお湯は、豆に対して約1:12〜1:15の比率が一般的ですが、ネルドリップではやや少なめに準備します。
- ネルフィルター&ネルドリッパー:
- 布製のフィルターと、それをセットするドリッパーです。ネルは事前に正しく準備しておく必要があります。
- コーヒーサーバー:
- 抽出されたコーヒーを受けるためのサーバーです。目盛りが付いていると抽出量の目安になります。
- ケトル:
- 注ぎ口が細く、お湯の量をコントロールしやすいドリップケトルが推奨されます。
- スケール(はかり):
- コーヒー豆の量とお湯の量を正確に計量するために使用します。
- タイマー:
- 抽出時間を計るために使用します。
- コーヒーミル:
- コーヒー豆を挽くためのミルです。このレシピでは挽きたての豆を使用します。
具体的な淹れ方手順
ここでは、ブラジル中煎り豆をネルドリップで淹れる具体的なステップをご紹介します。
- ネルフィルターの準備:
- 新しいネルフィルターを使用する場合、まず沸騰したお湯で10分程度煮沸し、布目を整え、布の匂いや糊を洗い流します。
- 使用済みのネルフィルターは、使用後すぐに水洗いし、水に浸した状態で冷蔵庫で保管します。毎日水を換え、乾燥させないことが重要です。抽出直前に一度お湯で温め、水気を軽く絞っておきます。
- お湯の準備:
- ケトルに必要なお湯を沸かします。中煎り豆の風味をしっかりと引き出すためには、湯温は88℃から92℃程度が適しています。沸騰直後のお湯をケトルに移すか、しばらく置いて温度を調整してください。ネルフィルターを温めるためのお湯も少量準備しておくと良いでしょう。
- コーヒー豆を計量し挽く:
- ブラジル中煎り豆を20g正確に計量します。
- 豆は中細挽きから中挽きにします。ネルドリップは他のペーパードリップよりゆっくり抽出されるため、やや粗めが良い場合もあります。今回は中細挽きを基準とします。抽出直前に挽くことで、豆の鮮度と香りを最大限に活かせます。
- ネルドリッパーとサーバーをセットし温める:
- ネルフィルターをネルドリッパーにセットし、サーバーの上に置きます。
- 抽出前に、サーバーとネルドリッパー全体を温めます。少量のお湯をネルフィルターの上からサーバーに落とすように注ぎ、全体が温まったらそのお湯は捨てます。これにより、抽出中の温度低下を防ぎ、安定した抽出が可能になります。
- 蒸らし:
- 温めたネルフィルターに挽いたコーヒー豆を入れ、表面を平らにならします。
- タイマーをスタートさせ、粉全体が湿る程度に少量のお湯を注ぎます。中心から「の」の字を描くように、粉全体に均一にお湯が行き渡るようにします。この時、お湯はドリッパーの底から落ちてこない量を注ぎます。
- そのまま30秒間、コーヒーが蒸らされるのを待ちます。豆から炭酸ガスが放出され、コーヒーが膨らむ(ブルーム)のが確認できます。この蒸らしの工程が、コーヒーの成分をしっかりと引き出すために非常に重要です。
- 抽出(本ドリップ):
- 蒸らしが終わったら、本ドリップを開始します。中心から外側に向かって、ゆっくりと円を描くようにお湯を注ぎます。
- お湯を注ぐ速度は一定に保ち、粉の層を乱さないように優しく注ぐのがポイントです。ネルドリップでは、ペーパーよりゆっくり、細く注ぐことを意識します。
- お湯は一度に全て注がず、数回に分けて注ぎます。コーヒー液がドリッパーの底からサーバーに落ちていく速度を見ながら、粉の表面が乾かないうちに次のお湯を注ぎ足していくイメージです。
- 抽出量が目標の240mlに達したら、ネルドリッパーをサーバーから外します。抽出時間の目安は2分30秒から3分程度です。
- 完成:
- 抽出されたコーヒーをカップに注ぎ、温かいうちにブラジル中煎り豆の持つ甘みと、ネルドリップ特有の滑らかな口当たりをお楽しみください。
美味しく淹れるためのポイント・コツ
- ネルフィルターの取り扱い: ネルドリップの最も重要な要素の一つがネルフィルターの管理です。使用後の水洗いを徹底し、常に水に浸して冷蔵庫で保管することで、布の劣化や油分の酸化を防ぎ、美味しいコーヒーを安定して淹れることができます。乾燥させると布目が詰まり、抽出が悪くなります。
- 挽き目と湯温の調整: ブラジル中煎り豆の場合、中細挽きから中挽きが基準ですが、もし抽出速度が速すぎる、あるいは遅すぎる場合は挽き目を調整してみてください。抽出速度が速い場合は細かく、遅い場合は粗くします。湯温も、より甘みを引き出したい場合は少し低め(88℃)、キレを出したい場合は少し高め(92℃)など、お好みで調整の幅があります。
- 注ぎ方の丁寧さ: ネルドリップは特に注ぎ方が仕上がりに影響します。細く、一定の速度で、粉全体に優しくお湯を行き渡らせるように注ぐことが、均一な抽出とクリアな味わいにつながります。慌てず、落ち着いて行うことが大切です。
- 蒸らしの重要性: 最初の蒸らしでしっかりと粉にお湯を行き渡らせ、約30秒待つことで、豆の炭酸ガスを放出し、その後の本抽出でコーヒーの成分がスムーズに抽出されるようになります。この工程を丁寧に行うことが、豊かな風味を引き出す鍵となります。
- なぜ滑らかな口当たりになるのか: ネルフィルターはペーパーフィルターに比べて布目が粗いため、コーヒー豆の持つ微細な粉や、油分(コーヒーオイル)が適度に通ります。このコーヒーオイルが液体に含まれることで、口当たりが非常に滑らかになり、独特のまろやかさとコクが生まれるのです。ブラジル中煎り豆のバランスの良い風味が、この滑らかな質感と大変よく調和します。
まとめ
今回は、ブラジル中煎り豆をネルドリップで淹れる方法をご紹介しました。ネルドリップは他の抽出方法に比べて少し手間がかかりますが、その分、ブラジル豆が持つ甘みやナッツ感に、ネル特有の滑らかな口当たりと深みのあるコクが加わり、格別な一杯を楽しむことができます。
ネルフィルターのお手入れ方法や、お湯の温度、そして丁寧な注ぎ方を意識することで、自宅でもプロが淹れたような、まろやかで美味しいコーヒーを再現することが可能です。ぜひこのレシピを参考に、ブラジル中煎り豆の新たな魅力、ネルドリップならではの奥深い世界を体験してみてください。