台形ドリッパー（カリタ式）で淹れる 浅煎り豆の華やかさを引き出すレシピ
台形ドリッパー（カリタ式）で淹れる 浅煎り豆の華やかさを引き出すレシピ
コーヒーには様々な淹れ方がありますが、ペーパードリップは手軽さから多くの方に親しまれています。特に台形ドリッパーは、比較的ゆっくりとお湯が落ちる構造のため、初心者の方でも安定した抽出を行いやすい器具の一つです。
この記事では、台形ドリッパー（カリタ式）を使用して、浅煎りコーヒー豆の個性を最大限に引き出す淹れ方をご紹介します。浅煎り豆は、フルーティーな酸味や花のような華やかな香りが特徴ですが、そのデリケートな風味を損なわずに引き出すためには、いくつかのポイントがあります。このレシピを通して、ご自宅で浅煎り豆の持つ華やかでクリアな味わいを再現していただけるよう、丁寧にご説明いたします。
この淹れ方に必要なもの
台形ドリッパーで浅煎り豆を美味しく淹れるために、以下のものをご準備ください。
- コーヒー豆: 浅煎りのコーヒー豆 20g
- お湯: 90℃前後のもの 約300ml（抽出に使う量）
- 台形ドリッパー: 101または102サイズなど、抽出量に合わせたもの
- ペーパーフィルター: 台形ドリッパー専用のもの
- コーヒーサーバー: 透過したコーヒーを受けるもの
- コーヒーミル: 豆を挽くためのもの（なければ挽いてある豆でも可）
- 計量スプーンまたはスケール: 豆の量を正確に測るため（スケール推奨）
- 温度計付きケトルまたは温度計: 湯温を正確に測るため
- タイマー: 抽出時間を計るため
具体的な淹れ方手順
ここでは、コーヒー豆20gを使い、約240mlのコーヒーを抽出する手順を説明します。
-
お湯の準備: ケトルに抽出に使うお湯（300ml程度）を沸かし、90℃前後に温度を調整します。浅煎り豆の華やかな風味をしっかりと引き出すには、やや高めの湯温が適しています。
-
ペーパーフィルターのセット: 台形ドリッパーにペーパーフィルターをセットします。フィルターの圧着部分（側面や底）を互い違いになるように折ると、ドリッパーに沿ってきれいにセットできます。
-
ペーパーフィルターのリンス（湯通し）: 沸かしたお湯を少量（50ml程度）使い、セットしたペーパーフィルター全体にゆっくり回しかけ、湯通しをします。これは、ペーパーの匂いを消し、ドリッパーとサーバーを温めるためです。湯通しに使用したお湯はサーバーに溜まりますので、必ず捨ててください。
-
コーヒー豆の計量とグラインド（豆挽き）: 浅煎りのコーヒー豆20gを正確に計量します。この淹れ方では、中細挽きがおすすめです。グラインドしたら、すぐにフィルターに粉を入れます。粉を入れたら、ドリッパーを軽く揺らし、表面を平らにならします。
-
蒸らし: タイマーをスタートさせ、粉の中心から「の」の字を描くように少量のお湯（粉全体が湿る程度、約30ml）を注ぎます。粉全体が均一に湿ったら注湯を止め、約30秒間蒸らします。蒸らしによって、コーヒー豆に含まれるガスが放出され、その後の抽出でお湯がコーヒー成分を抽出しやすくなります。浅煎り豆は深煎り豆に比べガスが少ない傾向がありますが、この工程は重要です。
-
メインの抽出（1投目）: 蒸らしが終わったら、中心から外側へ円を描くようにゆっくりとお湯を注ぎ始めます。粉の壁を崩さないように、細く一定のスピードで注ぐことを意識してください。サーバーに70ml程度抽出されるまで注ぎます。この際、ドリッパーにお湯が溜まりすぎないよう、滴下速度を見ながら注湯スピードを調整します。
-
メインの抽出（2投目以降）: サーバーのコーヒー量が約70mlになったら、一旦注湯を止め、ドリッパー内のお湯が少し落ちるのを待ちます。その後、再び円を描くようにゆっくりとお湯を注ぎます。これを繰り返し、サーバーの合計量が約240mlになるまで抽出します。お湯を注ぎ終わるまでの時間の目安は、蒸らし時間を含めて全体で2分30秒から3分程度です。浅煎り豆の場合、長時間の抽出は雑味を引き出す可能性があるため、この時間内に終えることを目指します。
-
抽出の完了: 目標の抽出量に達したら、ドリッパーにお湯が残っていても、ドリッパーをサーバーから外します。最後まで抽出しようとすると、雑味が出てしまうことがあります。
-
撹拌と注ぎ分け: サーバー内のコーヒーを軽く撹拌し、濃度を均一にします。その後、温めておいたカップに注げば完成です。
美味しく淹れるためのポイント・コツ
- 湯温の重要性: 浅煎り豆の華やかな酸味や香りは、比較的高温で抽出しやすい性質があります。90℃前後のお湯を使うことで、これらのデリケートな風味をしっかりと引き出すことができます。温度が低すぎると酸味が弱く感じられたり、風味が十分に開かなかったりすることがあります。
- グラインド（挽き目）: 中細挽きは、台形ドリッパーの構造において、お湯の流速を適切に保ちやすい挽き目です。浅煎り豆の成分を効率よく抽出しつつ、過抽出を防ぐバランスの良い挽き目と言えます。もし抽出速度が速すぎると感じたら少し細かく、遅すぎると感じたら少し粗く調整してみてください。
- 蒸らし: 蒸らしはコーヒーの成分をお湯に溶け出しやすくするための準備段階です。特に浅煎り豆では、ガスが少ないため蒸らしによる膨らみが控えめなことがありますが、粉全体をしっかり湿らせることで、その後の抽出のムラを防ぎ、均一な味わいにつながります。
- 注湯のスピード: 台形ドリッパーは底穴が小さく、お湯が比較的ゆっくり落ちる構造です。そのため、注湯スピードが速すぎるとお湯が溜まりすぎてしまい、浸漬時間が長くなりすぎて雑味が出やすくなります。細く、一定のスピードで、粉の層を崩さないように優しく注ぐことを意識してください。サーバーに落ちるコーヒーの滴下速度を見ながら、注湯のペースを調整するのがコツです。
- 抽出時間の目安: 浅煎り豆の場合、長時間の抽出は苦味や雑味が出やすくなります。全体で2分30秒から3分程度を目安に抽出を終えることで、浅煎り豆本来のクリアで華やかな味わいを引き出しやすくなります。
まとめ
今回は、台形ドリッパー（カリタ式）を使って浅煎り豆の華やかさを引き出す淹れ方をご紹介しました。浅煎り豆のデリケートな風味は、湯温や抽出時間、注湯スピードといった要素によって大きく変化します。
今回ご紹介したレシピは、浅煎り豆の華やかな香りやフルーティーな酸味、クリアな後味を楽しむための基本的な方法です。ぜひこの手順を参考に、ご自宅で美味しい浅煎りコーヒーを淹れてみてください。何度か試すうちに、ご自身の好みや使用する豆に合わせて、湯量や挽き目、抽出時間を微調整できるようになるでしょう。ペーパードリップの奥深さを、ぜひ体験してください。