華やかな香りとバランス良い味わいを エチオピア中煎り豆のペーパードリップ
華やかな香りとバランス良い味わいを エチオピア中煎り豆のペーパードリップ
コーヒーの世界には様々な豆の種類や焙煎度があり、それぞれの個性を最大限に引き出すためには、淹れ方を選ぶことが大切です。今回は、華やかな香りとフルーティーな酸味、そして穏やかなコクが特徴のエチオピア産の中煎り豆に焦点を当て、最も一般的な抽出方法であるペーパードリップでの美味しい淹れ方をご紹介します。
エチオピアはコーヒー発祥の地として知られ、その豆は独特の複雑な風味を持っています。特にイルガチェフェやシダモといった地域で生産される豆は、フローラルやシトラスのような香りが豊かです。中煎りにすることで、浅煎りほど酸味が強くなく、深煎りほど苦味やコクが出すぎない、バランスの取れた味わいを楽しむことができます。ペーパードリップは、豆のクリアな風味を引き出しやすく、初心者の方でも扱いやすい方法です。このレシピを通して、ご自宅でエチオピア中煎り豆の素晴らしい特徴を味わってみてください。
この淹れ方に必要なもの
エチオピア中煎り豆をペーパードリップで淹れるために必要な器具と材料は以下の通りです。特別なものは必要なく、ご家庭にあるものや比較的容易に入手できるものばかりです。
- コーヒー豆: エチオピア産 中煎り豆 15g
- お湯: 240ml (抽出に使用する総量)
- ペーパードリッパー: 台形型や円錐型など、お持ちのもので構いません
- コーヒーサーバー: 抽出したコーヒーを受けるための容器
- ペーパーフィルター: ご使用のドリッパーに合ったサイズ
- コーヒーミル: 手挽きでも電動でも可(豆は淹れる直前に挽くのが望ましい)
- ケトル: 細口タイプが湯量を調整しやすいため推奨
- スケール: 豆量とお湯の量を正確に計量するために使用します
- タイマー: 抽出時間を計るために使用します
- 温度計: お湯の温度を正確に測るためにあると望ましいですが、なければ目安でも構いません
具体的な淹れ方手順
ここでは、エチオピア中煎り豆15gを使用し、お湯240mlで淹れる基本的なペーパードリップの手順を解説します。
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準備を整える:
- お湯を沸かします。抽出に適した湯温は、中煎りの場合88℃〜92℃程度です。エチオピア豆の華やかな香りを引き出すためには、やや高めの90℃〜92℃が推奨されることもあります。今回は90℃を目安とします。
- ペーパーフィルターをドリッパーにセットします。
- コーヒー豆15gを計量し、中挽き(グラニュー糖程度の粒度)に挽きます。ペーパードリップ用として一般的な挽き目です。
- サーバーの上にドリッパーをセットし、全体をスケールの上に置きます。
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フィルターをリンスする:
- フィルターにセットしたペーパー全体に、準備したお湯を少量(お湯の総量には含めません)回しかけ、フィルターを温めると同時にお湯の通りを良くし、ペーパーの匂いを移りにくくします。サーバーに溜まったお湯は捨ててください。これは器具を温める効果もあり、抽出温度の安定に繋がります。
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コーヒー粉をセットし蒸らす:
- リンス後、ドリッパーに挽いたコーヒー粉を静かに入れます。スケールを「0」にセットします。
- タイマーをスタートし、お湯を粉全体が湿る程度、約30gを目安に中心からゆっくりと回しながら注ぎます。粉全体が均一に湿っていることを確認してください。
- お湯を注ぎ終えたら、そのまま20秒〜30秒待ちます。この「蒸らし」の工程で、コーヒー粉に含まれるガスが放出され、その後の抽出でコーヒー成分が効率的に、均一に抽出されるようになります。粉がぷっくりと膨らむのが良い蒸らしのサインです。
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お湯を数回に分けて注ぐ(抽出の本工程):
- 蒸らしが終わったら、再び中心から「の」の字を描くように、ゆっくりと丁寧にお湯を注ぎ始めます。ペーパーフィルターにお湯が直接かからないように、粉の部分にお湯を注ぐことを意識してください。
- 1回目の注湯は、合計で約90gになるまで(蒸らし30g + 60g)。約2分程度かけて注ぎ終えるイメージです。粉の中心から外側に向かって円を描き、再び中心に戻る動きを繰り返します。お湯の層が厚くなりすぎないように注意してください。
- 粉面が少し下がったら、2回目の注湯を行います。合計で約150gになるまで(+60g)。ここでもゆっくりと、中心から円を描くように注ぎます。抽出速度を見ながら調整してください。
- さらに粉面が下がったら、3回目の注湯を行います。合計で約200gになるまで(+50g)。
- 最後に、目標の総湯量240gになるまで(+40g)、ゆっくりと注ぎ足します。
- 目安として、蒸らし開始から抽出完了まで、全体で3分〜3分30秒程度を目指します。お湯が全て落ちきるのを待ってからドリッパーをサーバーから外してください。
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完成:
- サーバーに抽出されたコーヒーが完成です。濃度を均一にするため、軽くサーバーを揺らすか、スプーンで混ぜてください。
- 温めたカップに注ぎ、エチオピア中煎り豆の華やかな香りとバランスの良い味わいをお楽しみください。
美味しく淹れるためのポイント・コツ
- 豆の新鮮さ: コーヒーの風味は時間の経過とともに失われます。できるだけ焙煎日の新しい豆を選び、保存は密閉容器に入れ、直射日光や高温多湿を避けてください。そして、淹れる直前に豆を挽くことが最も重要です。
- 正確な計量: 豆の量とお湯の量を正確に計ることで、常に安定した味を再現しやすくなります。スケールを使用することを推奨します。
- 湯温の調整: エチオピア中煎り豆の持つ華やかな香りやフルーティーな酸味は、湯温に敏感です。高すぎると苦味や雑味が出やすく、低すぎると酸味が際立ちすぎたり、フレーバーが十分に引き出せなかったりします。推奨する90℃前後の湯温を試してみてください。
- 挽き目の調整: 挽き目が細かすぎるとお湯の通りが悪くなり、抽出時間が長くなって雑味が出やすくなります。逆に粗すぎると成分が十分に抽出されず、薄く味気ないコーヒーになります。まずは中挽きから始め、味をみて調整してみてください。理想的な抽出時間は、挽き目によっても変化します。
- お湯の注ぎ方と速度: ゆっくりと一定の速度で注ぐことで、コーヒー粉全体から均一に成分を抽出できます。急いで注ぐと必要な成分が抽出されずに終わったり、不均一な抽出になったりします。細口ケトルを使うと、湯量をコントロールしやすくなります。
- 蒸らしの重要性: 蒸らしは、コーヒー豆から美味しさを引き出すための重要な工程です。しっかりと粉全体を湿らせ、ガスが放出されるのを待つことで、その後の抽出効率が格段に向上します。
まとめ
今回は、エチオピア中煎り豆の持つ華やかな香りとバランスの取れた味わいを、ペーパードリップで最大限に引き出すためのレシピをご紹介しました。ペーパードリップはシンプルながらも奥深く、豆の種類や焙煎度、そして淹れ方によって様々な表情を見せてくれます。
華やかな風味のエチオピア中煎り豆は、ペーパードリップで丁寧に淹れることで、その個性を存分に楽しむことができます。今回ご紹介した手順やポイントを参考に、ぜひご自宅で試してみてください。ご自身の好みに合わせて湯温や挽き目、抽出速度などを微調整することで、さらに理想の味わいに近づけることができるでしょう。美味しいコーヒーを淹れる時間は、きっと素晴らしいひとときになるはずです。