エチオピア浅煎り豆の華やかな香りとクリアな酸味を 台形ドリッパーで引き出す淹れ方
エチオピア浅煎り豆を台形ドリッパーで淹れる魅力
コーヒーの世界には様々な豆の種類と淹れ方がありますが、特にエチオピア産の浅煎り豆は、その華やかでフルーティーな香りと、柑橘類のようなクリアな酸味が大きな魅力です。これらの繊細な風味をしっかりと引き出すためには、適切な淹れ方を選ぶことが重要になります。
この記事では、多くのご家庭にあるであろう台形ドリッパーを使用して、エチオピア産浅煎り豆の個性を最大限に楽しむための淹れ方をご紹介します。台形ドリッパーは円錐形ドリッパーに比べて抽出速度が穏やかになりやすい特性がありますが、いくつかのポイントを押さえることで、浅煎り豆の持つ明るく複雑な風味をクリアに表現することが可能です。この記事を読むことで、お手持ちの器具を使ってエチオピア浅煎り豆の新たな魅力に出会うことができるでしょう。
この淹れ方に必要なもの
エチオピア浅煎り豆を台形ドリッパーで美味しく淹れるために、以下のものをご準備ください。
- コーヒー豆: エチオピア産 浅煎り豆 20g
- 挽き目: 中細挽き〜中挽きの間
- お湯: 90℃程度 300ml
- 台形ドリッパー
- 台形用ペーパーフィルター
- コーヒーサーバー
- ケトル: 細口タイプが湯量や注ぐ速度をコントロールしやすいため推奨
- タイマー
- スケール(はかり)
豆の量は一般的なカップ2杯分を目安としています。お使いのドリッパーやサーバーの容量に合わせて調整してください。挽き目については、この後のポイントでも詳しく解説しますが、まずは推奨する中細挽き〜中挽きからお試しいただくのが良いでしょう。
具体的な淹れ方手順
ここでは、台形ドリッパーを使ったエチオピア浅煎り豆の淹れ方をステップごとに説明します。
ステップ 1: 準備をする
まず、コーヒー豆20gをスケールで正確に計量します。計量した豆を中細挽き〜中挽きの間の挽き目にグラインダーで挽きます。
台形ドリッパーにペーパーフィルターをセットします。ケトルで沸かしたお湯(ここでは90℃を推奨)を使い、フィルター全体にまんべんなくお湯を注ぎ、ペーパーフィルターをリンス(湯通し)します。この工程は、ペーパーの匂いを洗い流し、ドリッパーとサーバーを温めるために行います。リンスに使用したお湯は、必ずサーバーから捨ててください。
ステップ 2: コーヒー粉をセットする
リンス後、お湯を捨てたサーバーの上にドリッパーを戻し、挽いたコーヒー粉をフィルターに入れます。ドリッパーを軽く揺らして、粉の表面を平らにならします。
ステップ 3: 蒸らしを行う
タイマーをスタートさせ、挽いたコーヒー粉全体が湿る程度(粉の量の約2倍、つまり約40ml)のお湯を粉の中心から円を描くようにゆっくりと注ぎます。粉全体に均等にお湯が行き渡るように意識してください。お湯を注ぎ終えたら、20秒から30秒ほどそのままにして蒸らします。この時、コーヒー粉がぷっくりと膨らんでくるのが良い蒸らしのサインです。
ステップ 4: 抽出(1投目)
蒸らしが終わったら、抽出を開始します。中心から外側に向かって「の」の字を描くようにゆっくりと、かつ一定の速度でお湯を注ぎ始めます。注ぐ速度は、粉の層が崩れすぎず、サーバーに落ちるコーヒー液の速度が一定になるように調整します。ここでは約100mlを目安に注ぎます。
ステップ 5: 抽出(2投目以降)
1投目のお湯が粉の層を通り抜け、表面の湯が少し下がってきたら、再び中心から「の」の字を描くように湯を注ぎます。この作業を繰り返し、合計で300mlのお湯を注ぎ終えます。台形ドリッパーは構造上、円錐形よりも抽出速度が遅くなりがちです。お湯を注ぐリズムは、粉の表面が乾ききらないうちに次のお湯を注ぐように意識すると、スムーズな抽出につながりやすいでしょう。
ステップ 6: 抽出を完了する
目標の湯量(300ml)を全て注ぎ終えたら、お湯が完全にサーバーに落ちきるまで待ちます。抽出が終わったら、ドリッパーをサーバーから慎重に取り外します。サーバーに溜まったコーヒーを軽く混ぜて、濃度を均一にすれば完成です。カップに注ぎ、エチオピア浅煎り豆の華やかな香りとクリアな酸味をお楽しみください。
美味しく淹れるためのポイント・コツ
このレシピでエチオピア浅煎り豆の風味を最大限に引き出すための、いくつかの重要なポイントとコツをご紹介します。
- 挽き目の重要性: エチオピア浅煎り豆は硬度が高く、細かく挽きすぎると微粉が出やすく、台形ドリッパーの構造では目詰まりを起こしやすい傾向があります。これにより抽出時間が長くなりすぎ、苦味や雑味が出やすくなります。まずは中細挽き〜中挽きから始め、もし抽出が遅すぎる、または味わいに雑味を感じるようであれば、少しだけ挽き目を粗く調整してみてください。逆に、味が薄い、早く抽出されすぎる場合は、少しだけ細かくしてみるなど、味をみながら調整することが大切です。
- 湯温について: 浅煎り豆の持つフルーティーな香りとクリアな酸味は、比較的高めの湯温で引き出されやすいと言われています。しかし、台形ドリッパーの特性と豆の硬さを考慮し、ここでは90℃を推奨しています。もしより明るい酸味や華やかさを際立たせたい場合は、92℃程度まで湯温を上げてみるのも良いでしょう。ただし、湯温が高すぎると渋みやえぐみが出やすくなる可能性もあるため、バランスを見ながら調整してください。
- 蒸らしの役割: 浅煎り豆も焙煎後にガスを発生させています。蒸らしによってこのガスを適切に抜くことで、お湯がコーヒー粉に均一に浸透しやすくなり、成分がしっかりと抽出されます。蒸らし時間は短すぎず、長すぎず、粉がしっかりと膨らむのを観察することがポイントです。
- 注湯の速度とリズム: 台形ドリッパーで浅煎り豆を淹れる際は、円錐形に比べて湯の抜けが悪くなることがあります。お湯を注ぐ速度を少し速くすることで、抽出時間を適切に保ちやすくなります。ただし、速すぎると粉の層が崩れて湯の通り道ができてしまい、均一な抽出ができなくなるため注意が必要です。粉の表面が落ち切る前に次のお湯を注ぐリズムを意識し、合計の抽出時間が2分半〜3分程度になるように調整することを目指しましょう。
- 抽出時間の目安: 推奨する豆の量と湯量であれば、全体の抽出時間は蒸らしを含めて2分半から3分以内を目指すと、雑味の少ないクリアな味わいになりやすいです。もしこれより大幅に時間がかかる場合は、挽き目が細すぎるか、湯を注ぐ速度が遅すぎる可能性があります。
これらのポイントを意識して、ぜひご自身の好みに合う一杯を見つけてみてください。
まとめ
この記事では、エチオピア産の浅煎り豆の持つ華やかな香りとクリアな酸味を、ご家庭で使いやすい台形ドリッパーで引き出すための具体的な淹れ方レシピとコツをご紹介しました。
エチオピア浅煎り豆の繊細な風味を引き出すためには、挽き目や湯温、そしてお湯を注ぐ速度とリズムが重要な要素となります。特に台形ドリッパーでは、挽き目を少し調整したり、注湯速度を適切にコントロールしたりすることが、クリアな抽出につながります。
今回ご紹介したレシピはあくまで一つの基本形です。ぜひこの手順を参考にしながら、ご自身の感覚を大切に、湯温や挽き目、注湯の速度などを少しずつ調整してみてください。そうすることで、エチオピア浅煎り豆の様々な表情を楽しむことができるでしょう。自宅で美味しいコーヒーを淹れる旅を、どうぞお楽しみください。