ケメックスで最大限に引き出す エチオピア浅煎り豆の華やかさとクリアな味わい
最高のコーヒーを自宅で楽しむ第一歩として、今回はエチオピアの浅煎り豆をケメックスで淹れる方法をご紹介します。エチオピアの浅煎り豆は、そのフローラルで華やかな香りと、柑橘系の爽やかな酸味、そして心地よい甘みが特徴です。これらの繊細な風味を最もクリアに、そして最大限に引き出す抽出器具の一つがケメックスです。
ケメックスは、その美しいデザインだけでなく、厚みのある専用フィルターによって、コーヒーの雑味や微粉をしっかりと取り除き、透明感のあるクリーンな味わいを実現します。この組み合わせは、エチオピア浅煎り豆が持つ華やかさを濁りなくストレートに感じさせてくれます。
この記事では、コーヒー初心者の方でも自宅で簡単に、この素晴らしい組み合わせによる一杯を再現できるよう、必要なものから具体的な手順、そして美味しく淹れるためのちょっとしたコツまでを丁寧にご説明します。
この淹れ方に必要なもの
エチオピア浅煎り豆をケメックスで淹れるために準備するものは以下の通りです。
- コーヒー豆: エチオピア産 浅煎り豆 20g
- お湯: 300ml (抽出に使う量)
- ケメックス本体: 6カップ用など、お好みのサイズ
- ケメックス専用フィルター: ケメックスの形状に合ったもの
- コーヒーミル: 豆を挽くため(手挽きでも電動でも可)
- ケトル: お湯を沸かすため(細口タイプが推奨されます)
- スケール: 豆やお湯の量を正確に計量するため
- タイマー: 抽出時間を計るため
- 温度計: お湯の温度を確認するため(必須ではありませんが、あると便利です)
※お湯の量は、豆の量の約15倍が一般的な目安ですが、お好みで調整してください。今回は豆20gに対してお湯300mlを基準とします。
具体的な淹れ方手順
ここでは、エチオピア浅煎り豆の風味を最大限に引き出すためのケメックスを使った抽出手順をステップごとに解説します。
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フィルターのセットとリンス:
- ケメックス専用フィルターは、層が厚い部分が注ぎ口と反対側にくるようにセットします。この厚い層は、抽出時にケメックス本体にぴったりと沿わせることで、抽出路を確保する役割も果たします。
- フィルターをセットしたら、熱湯(約90℃)をフィルター全体にゆっくりと注ぎ、フィルターを湿らせます。これを「リンス」と呼びます。使用したお湯は、ケメックス本体に落ちますが、これは捨ててください。この工程は、ペーパーの匂いを消し、ケメックス本体を温めるために重要です。
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コーヒー豆の計量と挽き:
- エチオピア浅煎り豆を20g計量します。
- コーヒーミルを使い、豆を「中粗挽き」にします。グラニュー糖より少し大きい粒度が目安です。挽き目が細すぎると詰まりやすく、抽出時間が長くなり雑味が出やすくなります。浅煎り豆は硬いため、粉砕には少し力が要る場合があります。
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粉のセットと均し:
- リンスで使ったお湯を捨てたケメックス本体に、挽いたコーヒー粉を全て入れます。
- ケメックス本体を軽く揺らすなどして、粉の表面を平らに均します。
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蒸らし(ブルーミング):
- 90℃に調整したお湯を、粉全体が湿るように少量(豆の量の約2倍〜2.5倍、今回は40ml〜50ml程度)注ぎます。粉全体にお湯が行き渡ったら、タイマーをスタートさせます。
- そのまま約30秒〜40秒待ちます。この間にコーヒー粉が膨らみ、二酸化炭素を放出します。これが「蒸らし」または「ブルーミング」です。この工程によって、その後の抽出が均一に進みやすくなります。
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注湯(本抽出):
- 蒸らしが終わったら、残りのお湯を数回に分けてゆっくりと注ぎ始めます。
- 注湯は、粉の中心から外側に向かって円を描くように行います。お湯がフィルターの壁面に直接かからないように注意してください。お湯が壁面にかかると、粉を通らずにお湯だけが落ちてしまい、薄いコーヒーになる原因となります。
- 抽出中にケメックス本体のお湯のレベルが下がりきらないうちに、次のお湯を注ぎ足していきます。全ての注湯が終わるまでの目標時間は、約2分30秒〜3分程度です。抽出速度が速すぎる場合は挽き目を少し細かく、遅すぎる場合は少し粗く調整します。
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抽出完了:
- 全てのお湯が落ちきったら、フィルターをゆっくりと持ち上げて外します。
- ケメックス本体内のコーヒーを軽く揺らして攪拌し、濃度を均一にします。
- カップに注いで、完成です。
美味しく淹れるためのポイント・コツ
- 湯温の選択: エチオピアのような浅煎り豆は、華やかな酸味やフローラルな風味を十分に引き出すために、やや高めの湯温(90℃程度)が適しています。温度が低すぎると、これらの風味が十分に抽出されず、平坦な味わいになることがあります。
- 挽き目の重要性: ケメックスはフィルターが厚いため、粉が細かすぎると目詰まりしやすく、抽出に時間がかかりすぎて過抽出になり、苦味や雑味が出やすくなります。逆に粗すぎると、お湯が素通りしてしまい、成分が十分に抽出されず薄いコーヒーになります。エチオピア浅煎り豆の繊細さを引き出すには、中粗挽きがケメックスには最適です。
- 蒸らしの丁寧さ: 蒸らしは、コーヒー粉全体にお湯を行き渡らせ、その後の均一な抽出を助ける非常に重要な工程です。粉の中心だけでなく、周辺部も含めて均等に湿らせることを意識してください。
- 注湯のスピードと安定性: ケメックスでの抽出は、湯の落ちる速度が比較的遅いため、ゆっくりと一定のペースで注ぐことが大切です。一気に大量のお湯を注ぐと、粉の層が崩れたり、抽出が不安定になったりします。中心から外側へ、細く安定した湯量で注ぐことを心がけてください。
- 抽出時間: 豆の量やお湯の温度、挽き目によって変わりますが、目安として2分30秒から3分程度で抽出を完了することを目指しましょう。この時間内で安定した速度で抽出できれば、クリアでバランスの取れた味わいになりやすい傾向があります。
まとめ
今回は、エチオピアの浅煎り豆をケメックスで淹れる方法をご紹介しました。ケメックスの厚いフィルターが、エチオピア浅煎り豆特有の華やかで繊細な風味をクリアに抽出し、透明感のある一杯をもたらしてくれます。
最初は手順に慣れないかもしれませんが、何度か試すうちに、ご自身の環境に合わせた最適な湯量や注ぎ方、挽き目が見つかるはずです。今回ご紹介したレシピを参考に、ぜひご自宅でエチオピア浅煎り豆の持つ素晴らしいポテンシャルをケメックスで最大限に引き出し、その華やかな香りとクリアな味わいを楽しんでみてください。