まろやかな甘みを楽しむ 水出しコーヒー(コールドブリュー)の簡単な淹れ方
まろやかな甘みを楽しむ 水出しコーヒー(コールドブリュー)の簡単な淹れ方
コーヒーの楽しみ方は多岐にわたりますが、特に夏場に人気が高まるのが水出しコーヒー、別名コールドブリューです。お湯ではなく水を使って時間をかけて抽出することで、独特のまろやかさと甘みが引き出されます。一般的なホットコーヒーや急冷式アイスコーヒーとは異なる風味を持ち、苦味や酸味が穏やかになる傾向があります。
この水出しコーヒーは、特別な技術や器具がなくても比較的簡単に作ることができるため、コーヒー初心者の方にもおすすめできる淹れ方です。この記事では、ご家庭で手軽に美味しい水出しコーヒーを作るための基本的なレシピと、いくつかの大切なポイントをご紹介します。この記事を読むことで、きっとまろやかで飲みやすいコールドブリューの魅力に気づき、ご自宅の定番ドリンクの一つになることでしょう。
この淹れ方に必要なもの
水出しコーヒーを作るために、まずは以下のものを準備しましょう。
- コーヒー豆: 抽出したい量に応じた量。一般的に、水100mlに対して豆7g〜10gが目安となります。今回は水500mlに対して豆40gを使用するレシピを想定します。豆の種類は後述しますが、深煎りや中深煎りが定番です。
- 水: コーヒー豆の量の10倍から15倍程度の量。今回は500mlを使用します。水道水を使用する場合は、一度沸騰させてカルキを飛ばし、冷ましたものを使うか、浄水器を通した水やミネラルウォーター(軟水がおすすめです)を使用するとより美味しく抽出できます。
- 容器: コーヒー豆と水を浸しておくための容器。蓋ができる密閉性の高いものが望ましいです。市販の水出しコーヒー専用ポットや、ガラスピッチャー、蓋付きの瓶などでも代用可能です。容量は作りたい量に合わせて選びます。
- フィルター: 抽出後のコーヒー豆を濾すためのもの。容器にフィルターが付属しているタイプが最も手軽です。それ以外の場合は、コーヒードリッパーとペーパーフィルター、または目の細かい茶こしなどを使用します。
- スケール(量り): コーヒー豆の量を正確に計量するために使用します。
- コーヒーミル(お持ちであれば): 淹れる直前に豆を挽くと、より風味が豊かになります。お持ちでない場合は、購入時に挽いてもらうことも可能です。挽き目は後述します。
具体的な淹れ方手順
それでは、水出しコーヒーを作る具体的なステップを見ていきましょう。
- コーヒー豆を準備する: コーヒー豆を必要な量だけ計量します。水出しコーヒーに適した挽き目は、一般的に「中挽き」から「粗挽き」の間が推奨されます。お湯で淹れるペーパードリップよりもやや粗めに挽くことで、過度な雑味が出るのを抑えやすくなります。コーヒーミルを使用する場合は、この挽き目に調整して豆を挽いてください。
- 容器に豆と水を入れる: 準備した清潔な容器に、挽いたコーヒー豆を入れます。次に、計量した水を豆の上に静かに注ぎ入れます。
- 軽く混ぜて馴染ませる: 全体の豆がしっかりと水に浸るように、スプーンなどで軽く混ぜます。豆が固まって浮いてしまうのを防ぎ、均一に抽出されるようにするためです。あまり強くかき混ぜすぎないように注意してください。
- 冷蔵庫で抽出する: 容器にしっかりと蓋をし、冷蔵庫に入れます。抽出時間は、一般的に8時間から12時間程度が目安とされますが、お好みの濃さによって調整可能です。より長い時間(例:18時間〜24時間)置くと、より濃厚な味わいになります。冷蔵庫でゆっくりと時間をかけて抽出することで、コーヒー豆の成分が穏やかに引き出されます。
- 抽出後の豆を取り除く: 指定の時間が経過したら、冷蔵庫から容器を取り出します。容器に付属のフィルターがある場合は、そのまま引き上げて豆を取り除きます。フィルターがない場合は、別の容器にコーヒーを移す際にコーヒードリッパーにペーパーフィルターをセットしたもの、または目の細かい茶こしなどを使って、コーヒー液と豆を分離させます。最後までしっかりと濾してください。
- 完成: 抽出が完了した水出しコーヒーは、そのままグラスに注いでアイスコーヒーとしてお楽しみいただけます。濃度が高いと感じる場合は、水や氷で割って調整してください。
美味しく淹れるためのポイント・コツ
水出しコーヒーをさらに美味しくするためのポイントや、なぜその手順を行うのかの理由を解説します。
- 水温と抽出: 水出しコーヒーの最大の特徴は、低い温度の水で抽出することです。コーヒーの成分の中には、苦味や酸味、渋みの元となるものが多く含まれており、これらは比較的高い温度のお湯で抽出しやすい性質があります。一方で、甘みや香りの元となる成分は低い温度でも比較的抽出しやすい性質があります。水で時間をかけてゆっくり抽出することで、苦味や酸味といった成分の抽出が抑えられ、まろやかで甘みを感じやすい味わいになるのです。
- 豆の選び方: 水出しコーヒーには、一般的に深煎りや中深煎りの豆がよく合います。これらの豆はコクや香ばしさが強く、水出しにすることでその風味を保ちつつ、お湯で淹れた際に出やすい苦味や渋みが抑えられ、バランスの良い味わいになります。一方で、浅煎りのフルーティーな豆を使うと、水出しならではのクリアで爽やかな酸味と甘みを引き出すことも可能です。お好みに合わせて色々な豆を試してみるのも良いでしょう。
- 挽き目と抽出時間: 先述の通り、挽き目は中挽きから粗挽きが基本です。細かく挽きすぎると、微粉が多く出てしまい、舌触りが悪くなったり、過抽出気味になったりする可能性があります。水出しは温度が低いので過抽出にはなりにくいですが、フィルターが詰まりやすくなることもあります。挽き目が粗いほど、豆の表面積が小さくなるため、抽出に時間がかかります。推奨時間を参考にしつつ、お好みの濃さになるまで時間を調整してみてください。
- 水の質: コーヒーの味の大部分は水で決まると言われます。水出しコーヒーにおいても水の質は重要です。日本の水道水の多くは軟水であり、コーヒーの抽出に適しています。ミネラルウォーターを使用する場合も、硬度が高すぎない軟水を選ぶと、コーヒー本来の風味を邪魔せず、まろやかに抽出できます。
- 保存方法: 抽出した水出しコーヒーは、清潔な密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存します。抽出後も徐々に風味は変化しますが、一般的に冷蔵庫で2〜3日程度は美味しく楽しむことができます。なるべく早めに飲み切ることをおすすめします。
まとめ
水出しコーヒー(コールドブリュー)は、お湯で淹れるのとは一味違う、まろやかで甘みのある優しい味わいが魅力です。必要なものは少なく、一度準備してしまえばあとは冷蔵庫で待つだけで完成するため、コーヒー初心者の方でも手軽に挑戦できます。
深煎り豆でコクと甘みを楽しむもよし、浅煎り豆でフルーティーな香りを引き出すもよし。様々な豆で試して、自分だけのお気に入りの水出しコーヒーを見つけてみてください。ぜひ、この簡単なレシピを参考に、ご家庭で美味しい水出しコーヒーを作ってみてはいかがでしょうか。