味の決め手は挽き目 ペーパードリップで理想のコーヒーを淹れる方法
味の決め手は挽き目 ペーパードリップで理想のコーヒーを淹れる方法
自宅でコーヒーを淹れる際、コーヒー豆の種類や焙煎度、お湯の温度や注ぎ方など、様々な要素が味に影響を与えます。その中でも、見落とされがちでありながら、実はコーヒーの味わいを大きく左右する重要な要素があります。それが「コーヒー豆の挽き目」です。
同じコーヒー豆を使っても、挽き目が変わるだけで驚くほど味が変化します。この記事では、特に多くの方が自宅で実践されているペーパードリップに焦点を当て、なぜ挽き目が重要なのか、どのような挽き目を選べば良いのか、そして自分好みの味に調整するための挽き目のコツについて、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読むことで、いつものコーヒーがさらに美味しくなるヒントが見つかるはずです。
この淹れ方に必要なもの
ペーパードリップで挽き目による味の違いを体験するために必要なものは以下の通りです。
- コーヒー豆: お好みのレギュラーコーヒー豆(今回は例として、中煎り程度のバランスが良い豆を推奨します)
- コーヒーミル(グラインダー): 豆を挽くための器具です。様々な挽き目に調整できる手動または電動のミルがあると、挽き目の違いを試すのに便利です。挽いた豆を使用する場合は、異なる挽き目のものを用意すると違いが分かりやすいです。
- ペーパードリッパーとサーバー
- ペーパーフィルター
- 計量器(スケール): 豆とお湯の量を正確に測るために必要です。
- ドリップケトル: 細くお湯を注げるものが適しています。
- タイマー: 抽出時間を計るために使用します。
- お湯: 豆の焙煎度に合わせて85℃〜95℃程度のものを用意します(今回は中煎りの例として90℃前後を推奨)。
具体的な淹れ方手順(基本のペーパードリップ)
ここでは、挽き目による味の変化を比較するための基本的なペーパードリップの手順を説明します。豆の量や湯量は、豆20gに対しお湯300mlを基準とします。
- 準備: ペーパーフィルターをドリッパーにセットし、リンス(お湯を通して温める)してお湯を捨てることで、ペーパーの匂いを取り除きドリッパーとサーバーを温めます。
- 豆の計量と挽き: コーヒー豆20gを計量します。今回のテーマである「挽き目」を確認するため、まずはペーパードリップの基本とされる「中挽き」に挽いてみましょう。ミルがない場合は、お店で中挽きにしてもらった豆を使用します。
- 粉をセット: リンスしたドリッパーに挽いたコーヒー粉を平らになるようにセットします。サーバーごとスケールに乗せ、表示をゼロにします。
- 蒸らし: タイマーを開始し、粉全体が湿る程度の少量のお湯(粉の約2倍の量、今回は40ml程度)を中央から円を描くようにゆっくり均一に注ぎます。注ぎ終えたら20〜30秒ほど蒸らします。粉がぷっくりと膨らむのが目安です。この蒸らしでコーヒーの成分が抽出しやすくなります。
- 抽出(注湯): 蒸らしが完了したら、数回に分けてお湯を注ぎます。中心から外側へ、円を描くようにゆっくりと注ぎ、粉全体にお湯を行き渡らせます。この際、お湯が直接フィルターに触れないように注意すると、雑味が出にくくなります。合計300mlになるまで、注ぎと待ちを繰り返します。抽出時間の目安は、豆の種類や挽き目にもよりますが、2分30秒から3分程度です。
- 完成: サーバーのお湯が落ちきったらドリッパーを外し、カップに注いで完成です。
美味しく淹れるためのポイント・コツ:挽き目が味に与える影響
ペーパードリップの基本手順を踏まえた上で、挽き目がコーヒーの味にどのように影響するのか、そしてそれをどう活用するかを解説します。
1. なぜ挽き目が重要なのか
コーヒーの成分は、お湯に触れる豆の表面から溶け出します。豆を細かく挽くほど、お湯に触れる表面積は増え、より短時間で多くの成分が抽出されます。逆に粗く挽くと表面積が減り、成分がゆっくりと抽出されます。挽き目は、お湯とコーヒー粉の接触時間、そして抽出速度と密接に関係しており、これが味のバランス(苦味、酸味、甘み、コク)を決定する大きな要因となります。
2. 挽き目の種類とペーパードリップに適した挽き目
一般的に、挽き目は以下の段階に分けられます。
- 極細挽き: パウダー状。エスプレッソなどに適しています。抽出速度が非常に遅くなります。
- 細挽き: グラニュー糖程度。マキネッタや布フィルターでのドリップなどに適しています。ペーパードリップでは抽出が遅くなり、過抽出になりやすい傾向があります。
- 中挽き: 砂糖と塩の間程度。ペーパードリップの基本とされます。バランスの良い抽出が得られやすい挽き目です。
- 粗挽き: ザラメ糖程度。フレンチプレスやパーコレーターなどに適しています。ペーパードリップでは抽出が早すぎ、成分が十分に抽出されにくい傾向があります。
ペーパードリップでは、多くの場合「中挽き」が推奨されます。これは、お湯の透過速度と成分抽出のバランスが取れやすく、安定した味わいを得やすいためです。ただし、これはあくまで目安であり、豆の焙煎度や種類、ドリッパーの形状(円錐形か台形かなど)、お湯の温度などによって最適な挽き目は微調整が必要です。
3. 焙煎度と挽き目の関係
焙煎度によっても推奨される挽き目は異なります。
- 浅煎り豆: 密度が高く硬いため、成分が溶け出しにくい性質があります。そのため、やや細かめに挽くことで、十分な成分を抽出しやすくなります。ただし細かすぎると雑味が出やすいため注意が必要です。
- 深煎り豆: 組織が脆く、成分が溶け出しやすい性質があります。細かく挽きすぎると過抽出による苦味や渋味が出やすくなるため、やや粗めに挽くことで、バランスの取れた抽出を目指します。
4. 挽き目で味を調整する
基本の中挽きで淹れてみて、味の感想をもとに挽き目を調整してみましょう。
- 味が薄い、コクがない、酸味が強すぎる場合: これは抽出不足(過小抽出)の可能性があります。挽き目をやや細かくすることで、お湯との接触時間を増やし、成分をより多く抽出できます。
- 苦すぎる、渋い、舌にざらつきを感じる場合: これは抽出過多(過抽出)の可能性があります。挽き目をやや粗くすることで、お湯との接触時間を短くし、余分な成分が溶け出すのを抑えられます。
少量ずつ挽き目を調整し、抽出時間や味の変化を観察しながら、自分にとって最も美味しいと感じるポイントを見つけるのが理想です。挽き目が適切であれば、注ぎ方や湯温が多少ぶれても、比較的安定した味になりやすい傾向があります。
まとめ
コーヒー豆の挽き目は、ペーパードリップで美味しいコーヒーを淹れるための非常に重要な要素です。中挽きを基本としつつも、豆の焙煎度や、実際に淹れてみた味の感想をもとに挽き目を微調整することで、同じ豆からでも全く異なる味わいを引き出すことができます。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、様々な挽き目を試してみることで、コーヒーの味がどのように変化するのかを実感でき、自分好みの味を見つけるための大きなヒントになります。ぜひ、ご自宅で色々な挽き目を試して、理想の一杯を追求してみてください。